漫画表現の幅広さを感じた、『LOUVRE No.9』感想
森アーツセンターギャラリーで開催中の、『LOUVRE No.9漫画、9番目の芸術』いってきました。
フランスのルーヴル美術館が2005年から取り組んでいる、ルーヴルBDプロジェクトにて発表された、ルーヴルをテーマに扱った12漫画作品の原画や関連資料の展示です。
BDとは、Bande Dessinée (バンドデシネ)というフランス版漫画ともいうべきものを略した言葉。仏語読みだとベデ、ですね。
BDは日本の漫画と主に下記点が違います。
・アシスタントをつけず作家が一人で描く
・フルカラー
・出版はハードカバーな装丁で、日本円にして2000円前後
・刊行はいち作家一年一冊のこともある
・政治的、哲学的テーマを内包していることが多い
BDは日本語訳も出始めてるので、是非ひとつご覧いただけるとイメージがわくと思います。
さて展示の話に戻りますが、
今回展示の12作品の作家さんには、日本の漫画家も含まれてます。
・寺田克也
・松本大洋
・坂本眞一
どれも、日本の漫画らしさと、フランスのBDの特徴をうまいこと融合した作品です。
このプロジェクトで創られた漫画作品は、ルーヴル美術館で展示されたのですが、
なんと私のジョジョとの出会いは、このプロジェクトでの展示がお初だったりして。。。なんとも感慨深いものがあります。
さて、今回の展示には原画や製作風景もあり、非常に興味深かった。
印象に残ったのは、画材の自由度の高さ。
油彩、パステル、デジタル、鉛筆、薄墨、なんでもござれ。伸び伸びと描かれた作品群に、漫画表現の自由さを感じました。
フルカラーで展開するBDだから尚更、カラーの表現の幅が広い!
自分ももっと自由に、むしろめちゃくちゃ派手に自由にしちゃうべきかも!ととても刺激受けました。
完全に主観ですが、
日本の作家さんたちは、緻密に、丁寧に。
フランスの作家さんたちは、大局的に、流れるように。という印象。
途中の荒木先生のインタビューでもありましたが、日本はエンタメ、フランスは哲学的に。というストーリーラインもまた特徴的ですね。
自分はフランスに一年近く住んでいたので、
このフランスの特徴については、いろいろかきたいことがあるのですが、それはまた別の機会にします。。
フランスのBDの生原稿なんてのは、複製原稿もなかなかお目にかかれないこのご時世、なかなか貴重でございます。
会期は9/25までともうあまりないですが、漫画表現に興味があれば是非。