トモロコシ畑

油絵を使って動物を描いています。創作活動のご報告、日常の雑記など。

謎が謎を呼ぶ連続事件と女刑事の恋模様『死体は笑みを招く』レビュー

 東北旅行から戻り、1日半程度実家でまったりしておりました。久しぶりに時間を取って翻訳ミステリを楽しめましたので、レビューを書きます!

 今回はドイツミステリのシリーズ2作目にあたる作品です。ベテラン刑事・オリヴァーとピアのペアを主人公としたシリーズなのですが、この分厚さにも関わらず毎回読ませる! 今回は若干登場人物が多く、整理が大変ではありましたが、途中から一気読みでした!

 次作も既に翻訳出ているので、また読みたいところです!

 

死体は笑みを招く (創元推理文庫)

死体は笑みを招く (創元推理文庫)

 

 

目次

 

 

動物園での殺人事件とミステリアスな登場人物たち

 今回の事件の発端は、なんと動物園。開園直後の動物園で死体が見つかった! というショッキングなところからスタートします。

 動物園といったら、もちろん園長やら、飼育委員やら、園の従業員たちが出てきます。そして、被害者の奥様。さらに、被害者はどうも主義主張が強いらしく、色々な人の恨みをかっている模様。被害者は近隣で予定されている、バイパス建設に猛反対し、その建設会社や、賛成派と衝突しているとか。

 更に、被害者を慕う少年たちの集まりがあったとか……誰もかれもアヤシイさプンプンです。

 

次々と起こる不可解な事件

 そんな人物たちが入り組む中、なんと被害者の家が火事に!

 火事にてんやわんやしている暇もなく、被害者を慕う青年たちがオンラインゲームを経営し、お金を儲けている? なんて情報。さらに、それを刑事相手に隠している……! 一体それはなぜ?

 そしてそして、オンラインゲームの共同経営者の青年が、恋人のハズカしーーい写真をばらまいて……。

 と、大小様々な事件が起こる起こる。事件が進む中で、当初把握できる人間関係に、思わぬ側面があったりして……と、人間関係も変わっていきます。

 

魅力的な男性陣の間で揺れる女刑事の恋心……

 人間関係は、勿論主人公であるオリヴァーとピアを主軸に描かれます。

 オリヴァーはどうも奥様とうまくいかず、オリヴァーも気になるのですが。今回はとにかくピアの人間模様が気になる!

 ピアは30代後半の女性刑事。一応旦那サンはいるものの、別居中。そんなピア、事件をとりまく関係者である、男やもめな美中年男性と、若い女子からも大人気な青年からアプローチをかけられ、心が揺れてしまいます。勿論彼らは容疑者の範疇に含まれており、二人で居るのは危険な可能性も。でも、ピアはピアで孤独を感じ、揺れてしまい……とハラハラドキドキな展開です。

 おいおい、そこでついていっちゃダメだろ! とかありますけど、それがまたスパイスになります笑 まぁ、刑事だって人間だ!

 

総括!

 ということで、事件とピアの女心を追っていったら、いつの間にか読み終えた感じです笑 このシリーズは単に事件の謎解きだけでなく、こうした主要人物たちの人間関係・恋模様の変化があって、おもしろいのです!

 ミステリー初心者には、分厚さからみておおっと二の足を踏んでしまいそうではありますが、厚さを感じさせないおもしろさ。とはいえ、翻訳の第一作目としてでた『深い疵』を読んで私もハマったもので、そこから入っていただくとより入りやすいかと思います! ぜひ!

(『深い疵』は、実はシリーズ3作目なんですが、原作が好評らしく、これが実質翻訳された最初の作品です。ここからでも全然読めます!)