トモロコシ畑

油絵を使って動物を描いています。創作活動のご報告、日常の雑記など。

負傷したイケメン中尉が濃いキャラに振り回されるミステリ『カメレオンの影』レビュー

 梅雨も明けて、いつの間にやら夏の季節。

 仕事がもう一息で落ち着く(はず)なので、お盆の後に少しおやすみをとる予定。とはいえ、このコロナの拡大がじわじわを続く中、お出かけは自粛かしら。お絵かきや読書、ゲームに専念しようかなと思っていたりします。

 さて、そんな中、また一冊分厚い作品を読み終えたので、レビューしてみます!

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 今日はミネット・ウォルターズの『カメレオンの影』という作品。600頁超えの大作ですが、キャラが濃過ぎて…。どんどん読んでしまいました。

 

 レビューイラストにも書いていますが、一言で見所含めて作品を紹介するなら「負傷したイケメン中尉が、ボディビルダーのマッチョな女医様や、超メンヘラ・ストーキング元カノ、嘘付きだけど苦労人な家出少年等濃いメンツに翻弄される作品」、でしょうか。

 

 主人公アクランド氏は、イケメンの英国軍中尉。しかし、イラク派遣中に爆弾にあい、顔半分を負傷してしまいます。部下は死ぬわ、軍からは追い出されるわ、片目見えないわでもはや鬱っぽく、世の中や人生を斜めからみているような癖のある人物。

 

 正直、作品の冒頭あたりでは、アクランド氏があまりに周囲に対してシニカルで攻撃的なので、「おいおい、アクランドよ、もっと素直になりなされ」と、お前アクランドの親かよってくらいに心配しながら、あんま好きになれないかもと怯えていたのですが。

 章が進むほど、アクランドの悩みや辛み(元カノとか、お母さまとか)がわかってきて、「お前、大変だったんだな…」って、母性を持ってみられるようになり、いつの間にか好きになってきます。(こう言ったらアクランドに水かけられそう。笑)

 

 そして、途中で出てくるボディービルダー兼医者のジャクソン女史。

 イケメン過ぎて、惚れそうになりました。アクランドのひねくれっぷりも何のその、うまく突き放しつつ、うまくフォローしつつで、いい塩梅で対応していて、尊敬です。今管理職やっている身としては、学びがあるくらいかも…笑

 

 一応ジャンルとしてはミステリで、アクランドの生き方に、連続殺人事件が絡んできます。アクランドにその事件の容疑がかけられ、更にアクランドに不利な証言をすることも出てきて…と、主人公のキャラクター性、周囲のキャラの濃さ、そしてこのミステリーな展開が絡み合って、面白くなってきます。

 

 そ、そんな感じの作品です。

 外出し難いこのご時世、こんな長めの作品にチャレンジするのも良いのではないでしょうか…。