トモロコシ畑

油絵を使って動物を描いています。創作活動のご報告、日常の雑記など。

美人キャスター、半分浮浪者の男、ギャングまで? 多様な人間模様と事件から目が離せない『悪しき狼』レビュー

 お馴染み、東京創元社のドイツミステリー・オリヴァー&ピアシリーズの最新作『悪しき狼』。読了しました。仕事が数年で一番の繁忙期で、タクシー帰りだったにも関わらず。後半は止まらなすぎて、徹夜で読み切ってしまいました…。嗚呼、恐ろしい子!(良い子は真似しないように!)それほどまでに面白い作品だったのですよ。 

悪しき狼 (創元推理文庫)

悪しき狼 (創元推理文庫)

 

  オリヴァー&ピアシリーズは全て読んでいますが、この作品が今までで一番、面白かった。前半は普通だったんだけど、終わりに近づくに連れてもう一気読み。気になって気になってページをめくる手が止められません。なお、シリーズを読んでなくても、作品単体でも楽しめると思います!(一部不明な点あるかと思いますが、気に入ったら過去シリーズを読むのも一つ、であります!)

 

 さて、レビューを書いてみます。

 なお、今回は試みとして、前回のボヘミアンラプソディーの感想のように、感想イラストも簡単ですが描いてみました^^ 楽しかったー!

 主人公である、オリヴァーとピアと、他彼らの仲間達は何となくイメージあったけど。ちゃんと絵にしたのは初めてかも。本の中であまり容姿の描写はないのですが、あってもむしろ完全に私のイメージから描いておりますので、悪しからず、です(><)

 さて、以下レビューです。ネタバレ部分は隠します。ネタバレイラストもおまけでありまする…。

 

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多様で不思議な登場人物

 タイトルにも書いた通り、今作はいつにも増して、多様で不思議で、魅力的にも見える人物達が登場します。

 人気の美人キャスター、彼女に反抗する跳ねっ返りの娘、半分浮浪者のようにキャンプ場に暮らす男、元バイカーギャングの男、家庭がいまいちうまくいかない女性、精神科医…。なんか、これだけでも面白そうではないでしょうか? 更に、設定も濃いが、キャラも濃い。

 事件は、虐待された痕跡のある少女の水死体が発見されるところから始まりますが、彼らの織りなす一見事件と無関係な出来事が、不思議で全く読めません。徐々に彼ら同士が絡んでくると…思わぬところで繋がりができたり。読み進める内に、彼らの悩みや置かれた立場が徐々に見えてきて、じわじわと面白くなってきます。

 なお、上記のイラストには、一部の人物を入れてみました。オリヴァーとピアが左側。美人キャスターのハンナ、その娘マイケが右上で、右下は元バイカーギャングのプリンツラーです。うーん、何気オリヴァーが一番難しかったかも。ピアは私のイメージではショートカットなのだ。。

 

ピアのプライベートの絡みも良し

 さて、毎度感想にも書いているような気がしますが、このシリーズって主要登場人物のプライベートもまた、動きがあり面白いのです。オリヴァーは残念ながら奥様と別居…(頑張れ…!)今作ではピアの方に多少動き…というか、刺激があったでしょうか。

 恋人クリストフとの同棲生活に、クリストフの孫娘リリーが一時乱入してきます。そこでのピアの気づきが、少しだけ事件と相まってピアの心境に影響を与えたりして、やっぱり人間臭い。それがまたいいんですよね!

 そしてクリストフよ、どんだけできる男なのだ…。作中で彼が料理しているとこがあるのですが、描写見ると、料理の腕も良さそうで。ああ、今度クリストフも描いてみたいなぁ。想像(妄想)の中ではかなりイケメンです。ええ。

 

 

(ここからネタバレみあるので、隠しておきます〜)

事件、事件、また事件? そんな中…(ネタバレ含)

 少女の水死体の話だけではなく、ハンナも大変な目に遭ってしまいます…。更に、過去の未解決事件も何らかの絡みが? そして、ハンナの娘であるマイケにも魔の手が! と、連続して事件が発生します。しかも、それらの事件はどこかで繋がっているような。

 後半に行くに連れ、それぞれの事件が集約していきます。

 更に、途中途中で挟み込まれる、童話のような不思議なモノローグ…。怖い狼さん、の話。これもまた、事件と共に集約していきます。後半は本当に一気。えっ、まじで? こうなるの? という展開もりもりです! そのせいで徹夜しちゃったよ!(褒め言葉)

 

事件の話、だけではなかった!(ネタバレ含)

 今回の事件だけではなく、なんと今作ではかつてのオリヴァーとピアの同僚フランク、他の仲間含め、彼らの暗い過去にも触れることができます。全貌は明かされませんが、だいぶ衝撃的。

 まじかー。フランクしんどいなー。と読んでて辛くなってきたわ…。なんてか、切ない。でもまだ謎もあるので、続きが楽しみです。楽しみだけど、フランク立ち直って欲しい。いつもめんどくさい奴だのう、と思ってましたが、そうとも言い切れなくなりました。

 

感想まとめ! とおまけイラスト(ネタバレ含)

 事件はいつも通り面白かったのですが、今回はやはりオリヴァーと、他主要人物達の過去も分かったのが良かった。シリーズものとしての深みがありますね!

 最後に、なんだか今作は鑑識のクレーガー氏が過去作に類を見ない大活躍だったので、クレーガー氏のイラスト。あと、オリヴァー達のブレーン・カイが、ケパブの話をピアとしていたシーンが微笑ましかったので、ケパブ食べてるカイをおまけで貼って終わりにします。(笑)カイ、いいキャラ。なんか可愛いイメージなのだ。。

 前作から登場のケム氏も、面白いキャラと思われるのだが、今作はあまり出なかったなー。

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